不耕起栽培というテーマをいただいて2年目になりました。1年目の方が良かったという部分と、2年目に改良されて良くなったという部分といろいろあったと思います。皆さんと写真をもとに振り返りながら話していきたいと思います。

去年の振り返りになりますが、耕起と不耕起に関する定義付けについて。「表面を触ってしまう時点で不耕起ではない」とする方もいますが、ここでは基本的に「トラクターや耕運機を入れない、そういう機械力を使った耕し方をしない」という意味で不耕起という事にしています。ですから表面を掘ったとか、その辺はやさしくオブラートに包んでいただけたらと思います。

1年目は一部に菜種粕を入れた部分もありましたが、2年目の今回は前年の成果をふまえ、基本的には「すべて無肥料でやりましょう」となりました。これは令和5年の作付けで、トマト、サツマイモ、サトイモ、大豆、アブラナ科で5つに分けました。

これは4月の畑の様子です。一回ハンマーモアで草を刈りその後、草がまた生えてきたという状態です。上のあたりがオーガニックガーデンで、今年で言うとサトイモのあたりを下から見ている感じです。この写真をもとに後で畑を見てもらったら、「だいぶ変わったな」という感じを受けてもらえると思います。

ここではサトイモをテーマにして話をします。草を一度きれいにした後、さらに草刈り機でもう一度、表面の大きな草をきれいに刈り取って、穴を掘りそこに芋を落としました。右の写真はそれが大きくなってきたところです。

1年目は何かと作業がうまくまわらず、地元の皆さんに草を手で細々ととっていただいたのですが、正直私もこんなに大きくなるなんて、びっくりです。
ここの畑はすごい土の力があるといいますか、私たちが下手にトラクターを入れて何かするよりも、(土は)はるかに作物を作る術を知っているのです。
「この畑は放っといても何でもできる」という畑が日本全国に何箇所かあるのですが、ここの畑もたぶんそれに相当するのではないか。今回不耕起というテーマを与えてもらいましたが、とても良い畑を準備していただいたと思います。

当初、「2年前は大きく4つのブロックに分けていたが、展示圃場的な感じで4つ、5つに分けてもらいたい」と事務局の方から話がありました。その後この圃場の地力をそれぞれ観察をして、「そこには何が合うのか」という事を推察しながら作付けを考えました。
管理の仕方について。例えば縦一列に長く敷いた防草シートの扱いが少々悪かったので、次回は通路を無くしてやってみようと思います。トマト、きゅうり、サトイモ、サツマイモ、大豆、とうもろこし、スイカ、アブラナ科ということになっています。
先ほど近藤さんと「トマトの連作だけはこだわってやっていきたいな」と話し合いました。これは金子先生の時からずっと続けているという経緯もあります。教科書上では「トマトは連作障害にとても弱い」とされる作物なのですが、あえてその連作に取り組んでいきたいと思います。
キュウリはこの地域の特産品でもあるので、「土地柄としては合っている」というのがまずひとつあり、その上でそれを自然農法で栽培した際、「どのような技術提案ができるのかな」と自分なりに考えてみたいと思っています。
サトイモについて。去年参加した方は聞いていると思いますが、「サトイモは根を深く張り、土を柔らかくする働きがある」という仮説をもとに、ちょっと赤茶けた土が露出しており、多分いちばん土が痩せていると思われる場所をそのサトイモの区画としました。
その隣がサツマイモ、大豆、とうもろこし、スイカ。スイカの場所は去年、サトイモを植えた場所であり、その後に作るとスイカが良くできるのではと考えました。そしてキャベツ、白菜、ブロッコリー、ダイコンです。

こちらは4月中頃、1回目の実習の時にパノラマで撮った写真です。2年目になり1年目とは様子がガラッと変わりました。ホトケノザやハコベなどが生えています。いわゆる有機の本によく出てくる「こういう草がいっぱい繁茂するとキャベツなどが良く出来て、よい土になっていますよね」とした指標的な草が、全面を覆うようになりました。
1年目に不耕起でやったことがどう影響したのか、これが令和6年産の作物栽培にどの様に影響するのかについて考察しつつ、その変化を追跡していきたいと思います。
まあ、何かうまくいける感じがします。歩いたら土がふかふかで、これは柔らかい状態で維持されているな、というのは体感としてはあります。皆さんも今日帰る前に一度畑を歩いてみて、「土が何となくふかふかしているなあ」というのを主観的で結構ですので、ちょっと体験してもらえたらと思います。

ここはサトイモを植えたところですが、特にコグマザサが生えやすいような感じになっています。例えばもともとが水田だった排水の悪い畑で野菜を作るという話になった時、平植えだとイネ科の草がビョンビョン生え、何を作っているのかわからないような畑になります。
そういった排水が悪いところの場合、大きな畝をたて、その畝を崩さずにその上だけで栽培しようとする、「畝立ての不耕起栽培」のような感じでやっているところもあります。畝の下の方はイネ科の草が生えるのですが、上の方はそういった草が生えず、これに近いような草が生えてくるのです。ですから環境を整えるということは、そういう植生に対して大きな影響を与えるということになるので、印象としてこういう事も覚えておいていただければと思います。
「ラウンドアップ撒きてえな」といったイネ科の草がすごく生えてきた時、それに立ち向かうのか、それともちょっと一手を加え環境を変えて、「ちょっとおとなしくしておいてもらえますか」とお願いするのか、発想としてはだいぶ違うかなと思います。この様に「自然・有機栽培でやる時はそういう感覚的なものがとても大切なのでは」といつも思っています。

トマト、キュウリ。去年もここにトマトがありました。今年は1本アーチを立ててもらい、トマトとトマトの植えた間に苗を差し込んでいく、という事をやりました。 キュウリは今年初めてですが、同じように穴だけを掘って植えました。

またそれほど効果を期待していませんでしたが、キュウリと一緒に長ネギを植えました。これはコンパニオンプランツといって「相性の良いものを組み合わせると病気にかかりにくい」とされるものです。
トマトの場合、ニラと一緒に植えると青枯れ病とか萎凋病(いちょうびょう)などを防ぎやすくなるというのはよく知られている話であり、もしこの畑で(そういった病気が)出てくるようであれば試してみようと思います。

トマトについて。去年はスタートが良かったのですが、今年は初期に草が優先してしまい不調ではありましたが、後半はぶり返して「美味しいトマトが採れた」と管理されている皆さんから聞きましたので、一安心です。

キュウリの方がとても良い感じで成長してくれたので良かったです。不耕起で穴だけ開けてこれだけ育ってくれたら、まずまずの出来だと思いますし、8月は「収穫が若干追いつかないくらいたくさん採れた」と聞きました。
(参加者:一回も水をあげてないのにキュウリが毎日、コンテナ2つくらいとれたのですが、その収穫作業がとても大変でした。1日2回とるキュウリをやっと頑張っても1日1回程度だったので、やっぱりキュウリが大きくなってしまい、売るにも売れず。でも本当に美味しいキュウリでした)
大玉トマト、ミニトマト。ツルとはまあまあ伸びたと思います。どうしてもウリハムシなど、虫が少々ついてはいますが、いわゆる全滅するような被害程度ではありませんでした。あとはどれだけ収穫期間を伸ばすとか、何か防除資材を使うかなど、そういうことも検討の中に入ってくるのかな、という事でした。

次にトウモロコシ。こうやって溝を作りそこに苗を植えていきました。スイカの方は両側にマルチ、防草シート、ネットを敷きました。去年スイカはサトイモの後に植えており、だいぶ土がふかふかの状態になっていました。

トウモロコシは、虫がだいぶ入っておりダメだったとの事。生育量としてもこれでは足りないと思いますので、去年のやり方でトウモロコシを作るのは、この土地柄ではもうひと工夫が必要かなと感じています。

一方、サトイモと後に植えたスイカはだいぶツルが伸び、美味しいスイカがとれて良かったです。品種はピノガールでした。
(参加者:残念だったことに天候がとても暑く、割れてしまったスイカが結構多かった。日中の温度が38〜39度になった時、黒い防草シートが原因でもっと熱くなり膨張し、そこへ雨が降り冷やされて割れてしまったのではないか。これは何らかの対策が必要だと思います。スイカはとても甘くて美味しいから絶対に売れるし、食べても喜ばれます)
近藤さんとも話をしたのですが、「今年も是非スイカを作りましょう」という事になりました。これはまだ構想段階ではあるのですが、キュウリのアーチを使い、空中栽培の様な感じで「アーチ仕立てのスイカ」をやってみたいと考えています。
その方が植物間の風通しも良くなり、空気が動くことで葉の温度を下げるような、そういう働きになるでしょう。そういう意味で下を這わせるよりは、葉と葉の間の空気道をつくるような、そういうイメージの立体栽培のみたいなことも面白いかなと思っています。
でもあまりキュウリが採れすぎて、皆さんにご迷惑をかけないようにというところで、キュウリとスイカは半々くらいが良いかなと思います。
(参加者:重くないのですか?) 品種は小玉を選びます。あとはアーチにネットのようなものを引っ掛けて、上から吊るしをつけながら、紐でつるしてというやり方をします。できるだけ皆さんが見てみて「おおっ」と思えるような、そういう仕掛けを取り込んでいけたらなと私は思っています。

サトイモ、サツマイモも同じく、2年前と同じやり方をしたのですが、少々サトイモのスタートが去年よりちょっと良くなかったかなと思いました。またサトイモの植える深さがちょっと浅かったせいなのか、植えた約2週間後、思いのほか土が沈んでおり、サトイモの頭の方(根っこが出てくる部分)が少々露出している株が結構見られました。
それでその後、土寄せをしてその露出した部分が土で隠れるようにしてあげました。その後、根付いた部分からぐっと大きくなった感じです。
もう少し深く埋めてあげれば良かったのですが、そう考えると1年目に植えた時は、スコップを使い、スコップ1本分穴を掘った後、その下にもう一回スコップを刺して土をもっと深いところまで柔らかくしたのです。
しかしその穴掘り作業がとても大変だった、という事があり「まあこれでもやれるかなあ」という感じでサボったのですが、やっぱり土が浅くなってしまい、「その分、土をかける量をちょっと調整してあげれば良かったな」と思いました。
でもそうやって農業をやりながらいろいろ観察していくと「あ、こうしてあげれば良かったな」といった反省点が結構あるなと改めて私も勉強になりました。

ここも草刈り機できれいに仕上げて土寄せをしました。
表面の土をほどよくかけてやり、結果今年は2回だけだと思いますが、よく「サトイモは3回4回としっかり土をかければかける程、芋ができる」と言われているので、もう少しやってあげればまた芋の出来としては良くなってくるかと思います。

今年の芋は小さめだなと正直思っていたのですが、それでも収穫時期になると、1年と同じくらいまで大きくなりました。
だから私が勝手に「このあたりはそんなに地力はないだろう」と判断したことは大きな間違いであり、ここの土も十分に力を持っていたということが、後々になってわかったという次第です。

親芋はちょっと溶けてきたのですが、小芋孫芋はしっかりしており、小芋孫芋を食べる分として保管する場合は土の中に入れておいても大丈夫です。
サトイモ区の上側1/3くらいは次回の種芋用ということで、土の中に埋めたまま黒いビニールをかけて保温しています。
土の中に埋めておくと根がまだ生きている状態であり、気温が少しでも上昇すると当然作物も生育します。春先まで少しずつ芋が成長を続け、より大きな種芋の確保を期待しています。

冬、秋冬野菜です。キャベツ、ブロッコリー、白菜の列は去年と同様、草をきれいにしてそこを植えるところだけ削り、穴を掘って植えました。
ダイコンは草の中に種を撒きそこをハンマーモアで細かく砕き、土と種と草をサンドイッチにして、それだけで発芽させられるのではないか、という実験をしてみました。「共生農法」などのキーワードで検索すると愛知県の農家さんが出てくるのですが、今回はそれを参考にしました。

これは種を撒いてから1週間から10日くらいだったと思います。その発芽した状態をみて、「本当に出るんだ!」とちょっと感動をしました。皆さんどうですか、私は何をしてるんだろう、とは考えませんでしたか。
(参加者:まさかと思いました。草の中に種をまいて、その後草刈っただけなのに)

10月初旬の頃は、ギシギシなどの草と紛れてくるような形になっていたのですが、最終的にはそれなりのダイコンが収穫できました。これは根本さんから送っていただいた写真です。
土の環境さえ良ければこういう方法でも十分にできるのですね。これはすごい事です。根本さんたちのような寛大な方たちが指示をしてくれるおかげでいろいろなお試しができ、とても感謝をしています。
ですので、環境と力とその時の収支経営などを総合的に考えれば、いろいろなやり方があるという事です。でもやはりこういうやり方は、市場の流通に「ケースに同じ様なサイズを10本入れて、市場にドンと送りますよ」というような農業には、多分いちばん向かないやり方だろうなとは思います。
「今日はあだたら食農にいってダイコン1本買ってきますわ」の様な、そういった「顔の見える関係性のなかでこそ生きるやり方」なのかなと思います。賛否両論いろいろあるかとは思いますが、この様な方法でもできるという事です。

これはキャベツ、ブロッコリー、白菜ですか。このスコップは良かったですね、先がちょっと削ってあって。これを掘るためにあるようなスコップですね。
(参加者:それはうちの主人がタケノコ用に切ったスコップです)
丁度良い穴が掘れて本当に良かった。そして植えてもらったのがこれです。
自然農法や有機をやっていると、ロータリー耕の良し悪しという話が多く聞かれます。ロータリーは堆肥や肥料をまいた後、それを細かく砕いて土の中に混ぜるという機械です。
「ロータリーは化学肥料を使うために作られた道具でしょう」とよく言われるのですが、何でも使いようだとも思います。そういった農業をする時、それに必要な機械があるのと無いのとでは全然違います。
「自然農法や有機がより広がっていった時、それをやりやすいような機械が発明されてくると、なお一層広がりやすくなるのでは」といつも思っています。

植えた前後に水をかけました。その次の実習の際、だいぶ虫に食われており「今年はだめだった」と思っていました。しかしその後、だいぶぶり返して畑の方もいくらかは収穫できたという事でした。
虫の対策というのはいろいろな考え方があり、基本的には「虫がいないようにする」とするのが理想的ではありますが、少々食べられても根が良く成長していれば食害以上に成長点が大きくなり、最終的には「外側をちょっと食べられたけど、出荷する可食部は大丈夫だ」といったケースはよくあります。
だから基本的な考えとして、「根張りを良くする。植物体を健康に育てながら、時と場合によっては何かしらの対応をする」という事を知っておいてください。

これが先ほど言ったそのギシギシにまみれてきたブロッコリー畑なのですが、(右側は)ギシギシの面影はほとんどありません。
10月初期頃、草をどうやって管理しようかと考えました。草刈り機を使って全体を刈るというより、三角ホー(先が三角になった切れ味の良い道具)を使い、ギシギシの地際だけを削るような、狙い撃ちしたようなそういう感じで、ギシギシだけをきれいにしたっていう感じです。
仮説ではあるのですが、ギシギシの根が横にあれば、「それが下の方からミネラルみたいなものを吸い上げて、地表の方に還元してくれているのではないか」「太い根っこがあれば、それが土を柔らかくして緩衝材のようになったりはしないかな」などと考えています。
ですから基本的には草を抜いたりはしません。「うまく共生するような、そういう環境作りができたら良いな」というような草の管理をして、その結果としてブロッコリーも収穫できたのだと思っています。
(参加者:ブロッコリーの葉っぱには虫がついたけど、(可食部の)花の部分には虫がつかなかった)

その時畑にあった(ギシギシなどの)草を撮影したのです。
草にもいろいろな種類があります。先程のギシギシの様な発想で、「ほどよく残してあげながらお付き合いしていこう」と思える種類と、「ちょっとご退場願えますか」と思える種類があります。
特にこういうイネ科の草などは、「ちょっと地際からしっかり取ろうかなあ」という事もあります。例えばアレチウリ。ギシギシは地際でちょっとこう抑えてあげるけど、このアレチウリに関してはしっかり取ります。
ただ取るときも抜くのではなくて、地際をなんというか、成長点をしっかり取るようにします。「極力土の中の作物の根を傷めないように」ということでやりました。

ヒマワリは三角ホーで表面をほぐしてそこに種を撒きました。今年はひまわりが一番良くできました。ヒマワリは土の中のリン酸分を後作で使えるという緑肥的な効果があるので、今年ヒマワリだった所の後に何を植えるかという事をとても興味深く考えています。

これは自然農法についての私がイメージです。
先程の機械の話ですが、「この作土層15センチに(微量要素を含め)肥料を行き渡らせてその中で作物を作る」とするのが一般的な土壌肥料学的な考え方。「いかにして上から下まで均等な養分濃度にしていきわたらせるか」という事が重要となります。
トラクターをかければかけただけ、どうしても硬盤層という硬い層ができやすくなってしまいます。硬盤層ができると水の抜けが悪くなり水が溜まりやすくなります(停滞水)。それに根があたると病気になりやすくなる。
農業の言葉でいうと例えばサブソイラーという土の中の硬いところを壊すような機械を使うことではじめて、作物が良くできるようになるなど、肥料とは違う考え方として結構重要なところはあるのです。
一方、自然農法のように作土層に養分を行き渡らせるのではなく、根をよく張らせるという考え方があります。
これはいろいろな観察でよく出てくるイメージ図です。肥料を使った農法の根というのはこの辺(イラストの左側)まで伸びていますが、自然農法の方はこの深いところ(イラストの右側)まで根が伸びているという比較対象の説明です。ですから土の中を立体的に作物が使って大きく伸びているという事です。



自家採種か固定種かという事を含め、その土地にあったいろいろな品目、品種を組み合わせてやっていこうと思います。それを目指すポイントをこれらの資料で説明しています。
ここに書いてあるのは一応私なりに畑で2年間やってきたことを言葉にしたものであり、一応、イメージとしては常にそのような事を考えています。ですので「この畑ではこういうやり方ですが、別の畑ではそうではなく別の方法でやろう」など、いろいろなやり方があってしかりかなと思います。

初めて私がここに来た時、最初に穴を掘って土の中がどうなっているか、また草がどの様に生えているかという事を観察しました。そして穴を掘り手で横を押して「根が伸びるのかな」ということを想像しながら栽培にはいっていくわけです。
この時、例えばpH(ペーハー pH7:中性)やECなどそういう理化学的な部分も押さえておけば、なお良いかなと思います。低いpH(酸性)で作れるものはどうしても限られてしまうので、(一般的には)その場合は苦土石灰などを適宜使用します。
特に野菜の場合はこのpHを気にしておいた方が良いと思います。ここの畑も約5.1と結構低く、教科書的には少々逸脱した状態にはなっているのですが、こういった事も参考にしながらやっていければと思います。
土には砂と粘土質とその中間みたいなものがあります。どの土にどの作物があうか。インターネットでもいろいろな情報がありますので、気になる方は検索してご覧ください。
一番良いのはやはり平均的な土です。粘土質が強い、または砂質が強いなどではなく、やはりその中間が良いということです。おそらくここの畑は中間に位置しているかなと思います。(写真の)両方とも不耕起区の穴を掘ったものなのですが、深いところまでしっかり腐食が入り込んでいるのがわかります。
この土が抱えている養分をうまく使えれば。ここは肥料の塊のような土なのだろうと思います。今更ながら、「堆肥をまいてトラクターかけてこの土を壊さなくて良かったな」と、ちょっと安心しているところです。





草の管理ということで、今までお話した内容を説明した資料です。
「雑草という草はない」
一般に畑に生える草を『雑草』という言い方をしますが、草にはちゃんとそれぞれの役割があります。先程のギシギシのように「何かしらの役割をもっている」という事であり、『雑草』という言い方は無いのだろうなと思うのです。
だから『雑草』とは呼ばず、『草』という呼び方をしています。役に立つもの、その時にはそうでも無いものあるかもしれませんが、基本的には草とうまく付き合うよう、そういうあり方を考えていければいいなと思います。

ここの畑は本当に水はけもよくて土もふかふかで、表面の草をきれいにして植えればそれなりのものができるという事がわかりました。後はいかに生産性を高めていくかという事で、この点は今後、近藤さんの仕事になってくるかなと期待をしています。
一方、もともとが田んぼで「どうしようもねえぞっ」という圃場もあるわけですが、そういう所は先ほども触れましたが、最初から高畝にして根が張る部分を確保し、畝の上だけで作っていく。これは実際に愛知県の試験場でも確認されている考え方です。

一回だけですがタイに行ったことがあります。タイ国にもスコールがあり、雨がすごく降る瞬間があります。だから下手な作り方をするとすべてが埋まってしまうという地域があるのです。そういう地域には大きな畝をたててその畝の上だけで作るという伝承的なやり方があり、それを見させてもらった時に撮影した写真です。
その土地がどういう土地なのかを知っていれば、最終的に肥料や農薬を使わなくても、それにあったやり方というのは、本来、その土地に伝承的に持っているのではないかと思います。
* * *

(お薦めの入門書。大下さんから直接購入できます)
「基本はこうだよね」という事を再度見直していきたい。有機だから有機の勉強をするというより、もう一度教科書に立ち返り土の見方、風の通り道や光の当たり方、それに合う作物、そうでない作物などそういった基本的な視点が大切だと思います。
有機に特化した本を読むと、時々うさんくさい記事に出会う事があります。また最初から有機をやると肥料に洗脳されすぎてしまう事もあります。ちょっと習熟してきたら逆に「基本って何だろう」と、もう一度その基本を確認しそれに立ち返る。
「今はこういう過渡期なのかな」と思ったりもしており、2年間このあだたら食農でそういった勉強をさせていただいたと思っています。
3年目も新しい事や楽しいことをいろいろ提案しながら、楽しみたいと思いますのでよろしくお願いします。
20250125昨年を振り返る&交流会を開催しました
20250125昨年を振り返る(概要)
20250125自然農法による不耕起栽培取組報告2024(MOA 大下穣)