20240413圃場での「土の観察」(穴掘り実習)

極端な例ですが、仮にサトイモと小豆を作りたいとした時、小豆は肥料がいらない作物であり、痩せている土地は小豆にとっては適地です。ですから何を作りたいかというのと、何が作れるかという事についてどう選択するのか。何としても上にサトイモを作りたいとした時、場合によってはしっかり堆肥を入れてやらなければなりませんが、小豆だったら放っておいても育つと思います。適地と何を作りたいかということについて、今の状況で何をしてあげる事ができるかを考えます。自然界は人間の思い通りにはいかないものです。ここが面白いところですね。

土壌診断として穴を掘るときは、表層の土と下の土を混ぜないようにいつも心掛けています。表層をはいだら後、下層は別にしておき、戻すときも下層を戻してから上を戻すというようにするとそこの土の層はちゃんと維持されます。ある程度掘れたら見る断面を垂直に切ってあげて、太陽を背にするとよく見えやすくなります。

令和5年サトイモ区の土(傾斜地の下側)

ここに去年ちょうどサトイモがあって、この深さまでは有機物が蓄積されています。その下もわりと茶色みが強くて、さらに下を見るとだんだん赤茶けて黄色みが強くなってくる。そういう土の層になっています。もし仮にこういった黄色い土がこの辺にびっしりとなっていたら、表層だけが肥えていて下の方に根が伸びにくいのだな、という想像ができ、その場合は下層に対して何をしてあげようか、という流れになるでしょう。

ここは上から15センチくらいまではしっかり根が伸びており、結構肥えている土だと思います。イメージとしては、この表面の草をきれいに手で管理してやり、ふかふかの状態をできるだけ維持しながら、そしてここに簡易の穴をあけて苗や種を植える。結構それだけでうまくいくのではないか、そういう土なのではないかなと思います。

黒い土というのは、腐植有機物が蓄積されて豊穣だという事であり、こういった土の層を作るのが堆肥の目的。だから表層がこの様な土だったら、しっかり堆肥を入れてやってあげるかな、という事になります。家を建てその一角を家庭菜園にする場合、そういうところの土は大抵、赤茶けた土からスタートするわけです。そういう意味で家の家庭菜園では、最初からこういう不耕起的な農法は難しいと思われます。

この点でここはスタート地点がとても恵まれているのですが、これを理解していれば無駄に肥料などを使わなくても農業が成立するという事を理解していただければと思います。

令和5年ダイズ区の土(傾斜地 サトイモ区の上側)

ここは大丈夫ですが、水はけが悪いところは掘った時にちょっと青みがかっている土が見られることがあります。そういうところで匂いを嗅ぐとすえた匂い、ちょっとツーンとくる感じがします。見る面は垂直が良いです。

不耕起をする以前、例えばトラクターでずっとここを耕うんしていたと仮定します。耕うんした後に雨が降り、下の方に土が流れていってこういう差ができたのではないか。先程の場所(下方のサトイモ区)では根がびっしりと生えていましたが、ここはそうでもない。では来年に向けて、表層がふかふかになるようにするにはどう管理してあげるか、と考えていきたい。

ここは去年全部ダイズだけを作付けしたのですが、一さやも採れず残念な結果になりました。なので今年は(緑肥として)一面にエンバクを撒き、最終的にはスイカを作る予定ですが、最初は植える筋だけエンバクをきれいに植え、周りのエンバクが大きくなるとそれが防風にもなり、つるが伸びてきたらエンバクをすべて狩り倒し、最終的にはつるがエンバクを刈った上をはっていく。

本当にガチガチの土は押してもへこまない。これだけへこめばそれなりに良いと思います。上部と下部の差、土の感触、匂いであったり色であったり、レスポンス、水分など、いろいろ観察して感じられることはあります。

令和5年トマト区の土(道路側 柱のそば)

ここまでは指が入る、この下は入らない。先程とは断面がまったく違う。この深さに堆肥など肥料を入れてロータリーで混ぜるということをずっと続けていくとこの様な状態になります。ここは斜面なのでそうでもないのですが、平地の畑などでは、トラクターのタイヤが大きいので高圧になり、下の土が厚い層になり、その下に根がとおらないといった状況になります。そうならないように機械を使うのか、緑肥を使うのか、なんらかの改良してあげないと、ということになります。

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